こんばんは、落合大好きヨーイチ滝川@マネテク!です。

例によって図書館から「落合陽一の新刊が入荷したよ!」という通知のメールが来ていたのでさっそく予約して読んでみました。
同じタイミングでたまたま別の落合陽一の本「0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書」という本も読んだのですが、個人的にはこちらの「ニッポン2021-2050」の方が圧倒的に読みごたえがありました。

(過去記事)
・(書評)0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書 落合陽一 | ブックスたきがわ

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落合陽一と猪瀬直樹が交互に持論を展開

本の内容は落合陽一と猪瀬直樹が交互に持論を展開する形で4つのテーマについて触れている、というものです。
対談のようにも見えるところもありますが、対談ではないようです。

まとめ

一番最後に各章のまとめが載っているので抜粋しておきます。

第1章 人口・産業

これまで

・人口増を原動力とした経済成長
・中央主導の補助金による同じような街づくり
・課題解決より現場の医師が優先

2021年以降の30年の指針

・人口減少による問題はテクノロジーで解決
・地方自治体は各々の生き残りに向けたビジョンを打ち出す
・「分からない人に合わせる」から「分かる人が引っ張る」へ

必要な思考

(落合)テクノロジによる変化を恐れない
(猪瀬)東京と地方の違いを肌感覚で理解する

第2章 風景

これまで

・明治維新で生まれた一君万民の日本人
・”ドラえもん”で描かれる近代の完成像
・均一な教育システムによる同じ価値観

2021年以降の30年の指針

・自身を縛る日本人の無意識を見つめなおす
・テクノロジーと伝統の融和にビジョンを見つける
・個人に最適化された教育で多様な個性を肯定

必要な思考

(落合)”ドラえもん”にない風景を深掘りしていく
(猪瀬)街を歩き風景の隙間からヒントを見つける

第3章 統治構造

これまで

・各省庁の権限が強く横断する課題が取り残される
・前例踏襲主義で目的なきルールが温存
・公文書破棄や霞が関文学に見られる権力者の恣意的運用

2021年以降の30年の指針

・省庁の隙間につながる問題に取り組む
・前例がない取り組みを積極的に肯定
・テクノロジーによる有権者にクリアなルールの制定・運用

必要な思考

(落合)技術的解決と政策的解決を提案できる「ポリテック」思考を身につける
(猪瀬)目的を見失ったルールにとらわれず、ファクトとロジックで物を考える

第4章 人材

これまで

・優秀な人間の条件は「与えられた課題を正確にこなす」
・英語を筆頭に他言語で表現することができる
・学校の試験の点数が高い人間が評価される

2021年以降の30年の指針

・正確さはAIに代替、人間の魅力は「外れ値」を出せること
・言語能力は表現力以上にアイディアや中身が問われる
・学校の試験で測れない個人の経験値が重要

必要な思考

(落合)メカニカルアーツを身につけ、未知の領域に挑んでリスクを取る
(猪瀬)言葉の力を磨き、自らのアイデアを問う「プランナー」に

気になったところを抜き書き

気になったところをいくつか抜き書きしておきたいと思います。

全体視点で見れば、今後ローカルの重要性が高まる

まずは第1章から。

GDPの7割を生み出すLを考えること。
地方再興戦略を練ることは、日本を日本たらしめている文化を守ることにもつながるのです。

自分がいわゆるG型人材だという風に思っているわけでもないのですが、一般的な定義からするとおそらくG型人生ということになります。
一方で、今後重要になってくると考えられているのがローカルであり、かつそれが世界的な潮流だということを知り、自分の視野の狭さを感じました。

ポリテックと政治の透明化

続いて第3章から、ポリテックについて。
ポリテックを、落合陽一は以下のように定義しています。

政治の課題をテクノロジーで解決する。
テクノロジーの課題を政治的に解決する。
そして政治とテクノロジーがそれぞれ変わっていく。
これが「ボリテック」の意味です。

この本の中でも何度も出てくるのですが、政治を透明化することは非常に大事です。
さらに、その透明性のある政治に対して正しい判断のもとで民意を反映させていくということは極めて重要なことだと感じます。

一方で、非常にハードルが高く、民意の反映はコストのかかることだったというのがこれまでだと思うのですが、そこを越えていくために使えるのがテクノロジーということになります。
分かりやすい例で言えば、これまで相当な労力とお金をかけて実施していた選挙もテクノロジーを活用してスマホから簡単に意見を表明できるような仕組みを作ればより正確に政治に対して民意を反映することができるのではないかというような話です。

原発

第3章では原発についても触れています。

僕は原発に関しては国に返納するのが有力な選択肢だと考えています。
原発は国策で造ることが決まり、民間企業に管理が渡って、それが事故を起こして、その処理に伴うコストが民間企業のバランスシートや損益計算書に記載されているのが現状ですが、僕には違和感しかありません。
福島第1原発事故のことを考えても、一民間企業で管理するというのはコストリスクが高すぎます。

落合陽一が原発を国に返納するのがいいと主張している根拠の一つが、「国策であれば、民意の反映ができるようになる」ということです。
民間企業に対して意見を反映できるには、株主等ステークホルダーに限定されます。
影響を受ける範囲が非常に広い一方で、意見を反映させられる人は非常に限定されているというアンバランスな状態であるわけです。
これに関してはポリテックで民意の反映がしやすくなるということと併せて考えると、国民にとって非常に影響の大きいことについて正確な民意を反映することができるという仕組み作りはとても重要なことなのだと感じました。

次の時代を考える上で、歴史や統計を知り、論理と教養を身につけることが重要

続いて第4章から、まずは落合陽一がまとめています。

次の時代を考える上で、重要なのは大別すると3つです。
第1にこの本で繰り返し語ってきたように歴史や統計データを知ること。
第2に論理的な日本語力を身につけること。
第3に時代に適応した文理問わない教養を身につけることです。

猪瀬直樹も言っています。

どんなライフスタイルを築くにしても、どんな政策を生み出す位にしても、必要なのは思想を鍛え上げ、磨き上げていける、「言葉の力」でしかないのです。

まとめ:示唆に富んだ良本

個人的には落合陽一の話も猪瀬直樹の話も非常に興味深く、濃い内容だと感じました。
いろいろと考えさせられることも多く、気づきを得られたと思います。

猪瀬直樹に関しては、カネにだらしなく失脚した都知事、という印象を持っていましたが、非常に頭がよく実行力もある人だと感じました。
今回興味を持ったので都知事辞任の経緯についても改めて調べてみましたが、どうもいろいろとありそうですね…。

(参考リンク)
・猪瀬都知事の5000万円問題・渦中の人に聞く(江川紹子) – 個人 – Yahoo!ニュース

まぁ、真相は分かりませんが…。

ニッポン2021-2050 データから構想を生み出す教養と思考法
★★★

星の基準
★★★★★ 手元に置いて何度も読み返したい名著 買って配りたい
★★★★ また読みたい、いい本。他人に勧めたい
★★★ よい本だった。また読むかは微妙。
★★ 読む価値のある部分もあるが…。また読むことはなさそう。
★ 時間の無駄だった。

今日のマネテクポイント

猪瀬直樹の都知事辞任の件で貼ったリンクは江川紹子の記事なのですが、江川紹子もなかなかどうしてすごい人だということを改めて感じました。
ジャーナリストって本当にすごいと思います。
だいぶ幅が広いので一概には言えませんが、もっと尊敬されるべき職業だと感じます。